自費出版への道 21 ブックパレットで自費出版する

奮闘記

 文芸社の歴史文芸賞に落選し、そこからの自費出版も余りに高額の出版費用に諦めた私でしたが、自分の書いた物語を「カタチ」にして世に出したいという氣持ちは、日に日に強まるばかりでした。
 今回は、ブックパレットという出版社から自費出版するまでのお話しです。

 が、当時の資料や記録、その後パソコンを買い換えたためにメールの保存が一部欠落していて、なんともおぼつかない私自身の記憶を辿りながらのお話になってしまいます.一部正確ではない可能性がありますが、大筋、こんな感じだったということでご容赦ください。

 さて、どうにかして物語を世に出したい私は、パソコンに向かうと「自費出版」というキーワードでばかり検索してしまうようになりました。表示されるのは、風詠社やお手軽出版ドットコム、東京図書出版、新潮社など。当初は、思っていたよりも多くの出版社が自費出版を手掛けていることに驚いたものです。
 いろいろ迷ったのち、私は風詠社に原稿を送りました。

 原稿を送ってから10日から2週間後くらいの事だったと思います。思っていたよりも早くお返事を頂いた印象が強く残っています。
 お返事には見積書と一緒に「私の物語はテーマも良く、読みやすい上に人生における訓示のような表現も多く、読み応えもある。歴史の好きなファンは多いので、営業ベースに乗ると思われます」、そんな簡単な書評が添えられていました。書評自体は、文芸社から頂いたものよりも、風詠社から頂いた書評の方が、私自身は嬉しかった記憶があります。

 一方、風詠社からの見積もりは、確かに文芸社よりは安かったけれども、それでも上下巻で数百万円の見積もりになるわけで、本を出版するというのは、思っていたよりもお金の掛かる仕事なのだと、改めて実感したのです。 

 もっと安く出版する方法はないかと、検索していると、「お手軽出版ドットコム」のサイトが目にとまりました。そこでは、自分が出したい本の種類が文字中心なのか、絵や写真中心なのかを選び、そこから更に、本の詳しい情報を入力していくと、大凡の出版費用を計算してくれることが分かりました。もちろん、直ぐにチャレンジです。

 私の小説の場合だとこんな感じになります。
 流通タイプを、Amazonのみで販売を選択。
 本のサイズは、B6
 ソフトカバーで、総頁数は約400頁
 本文カラーはモノクロ
 印刷部数は、300部
 本の原稿は、完全レイアウト済み(完成原稿で編集の必要なし)
 本のカバーに帯を着けて、装丁デザインは規制型を使う
 その他、カバー用紙や本文用紙等はお任せ、アンケートハガキの封入もなし
 同時電子出版は、希望するとしました。

 このような条件で計算すると、おおよそ62万円になります。

 この計算は、1冊の頁数が400ページの計算です。私の場合、上下巻での出版になりますから、実際には倍の124万円になるということです。
 はじめに文芸社から提示された700万円に比べれば安いですけど、100万円以上の費用が掛かるのに変わりはないわけですから、まだまだ高いですよね。

 因みに上記の条件で、例えば、印刷部数を300から100に変更すると、お値段は約43万円になります。つまり減額の大部分は、紙代だと思われます。その証拠に印刷部数を300から変えずに、本のサイズをB6から文庫本サイズにすると、595,980円へと、若干ですが金額が下がります。紙の総量が少なくなるからでしょうね。

 じゃあ、本の頁数は変えられないなら、本のサイズを文庫本サイズにして、発行部数を100部、本のカバーも帯もなし、電子出版も梨という条件にすると、1巻あたりの出版費用は、338,250円まで下げることが出来ます。

 でも、それでも上下巻になると70万円近くなるわけで、やはり高いなぁというのが、実感でした。

 繰り返しになりますが、私の希望は、自分の書いた作品を何としても世に出したいということ。
 そこで次に検討したのは、Amazonのセルフ出版でした。

 Amazonでセルフ出版をするには、Amazon Kindle Direct Publishingに登録する必要があります。これは、手順に従って情報を入力していけばいいのですが、いざ電子出版をするとなると、原稿を電子出版用のEPUB形式にに変換する必要があります。当時は、こんなことも知らなかったのです。

 幸い、一太郎にはEPUB形式への変換機能があったので、文字の変換自体は難しくなかったのですが、作中にあった図表の変換がどうやっても上手く行きませんでした。

 例えば、天皇の系統図や聖徳太子を含む蘇我一族の系統図、あるいは天智天皇・天武天皇の系統図などが、どうやっても思うように表示されないのです。あまりの出来なさに、coconala(ココナラ)を利用しようかと検討しましたが、自分の作品をどこの誰だかも分からない人に委ねることがどうしても出来なくて、最終的に、図表が上手く表示されないことについては妥協しました。

 Amazonでの一連の販売プロセスの中で知ったのは、売価を勝手に決めることが出来ないということでした。いわゆる、Amazon側の原価があって、それを下回る価格設定が許されず、原価の上に利益相当分を転嫁して価格設定をする必要があったのです。

 私の場合、それぞれ凡そ400ページの上下巻を出版するとなると、1巻辺りの金額がとても大きくなってしまうことを知り、私は「オブシディアンの指環」を上中下の3巻に分割することにしました。実は、このことがあとで大問題を引き起こすことになるとは、思いも寄らずに。

 実はこの辺りの記憶と記録が曖昧で、Amazonで出版しようといろいろやったことは事実なのですが、最終的にAmazonで電子出版をしたかどうか、確証がないのです。

 文芸社の歴史文芸賞の落選通知が9月半ば。文芸社を訪れて出版についての話し合いをしたのが10月1日。次に正式な記録が残っているのが、11月19日にPIXTAからの表紙用画像データ購入記録です。これは、ブックパレットから自費出版するために私が準備した画像データです。

 このことは、11月中旬にはブックパレットでの出版が具体的に進んでいたことを示しています。

 そこで、おぼつかない私の記憶を遡ります。

 いつものように、もう何度も見た自費出版のサイトを見比べていた私の目が、ブックパレットというサイトで止まります。見れば、紙の本の出版から電子出版まで手広くカバーしていて、お値段もそんなに高くなさそうに見えました。
 本を出したいという氣持ちに変わりはない。だったら、いつまでも決めないままではいられないと意を決して、ブックパレットに電話をしました。

 電話に出た人の名前は覚えていません。でも、なんとなく声は覚えています。
 (余談ですが、私は、人の声を覚えるのに長けているらしいです)
 出版を前提とした正式な見積もりが欲しいと、そんなことを伝えたと思います。返ってきた答えは「実は、来月から出版費用の値上げが決まっていたのですが、今日、お電話を頂いたので、値上げ前のお値段でお見積もりをさせていただきます」というもの。
 そう、確かに電話の向こうから「来月から」と言われたことを思い出します。
 カレンダーを確認すると、電話を掛けたのは10月30日の金曜日の夕刻だった可能性が高いですね。夜の7時前だったかも知れません。

 私は直ぐに原稿を送りました。

 当時、送った原稿は文芸社の歴史文学賞に応募した作品がベースでした。
 ただ、自費出版の費用をなるべく抑えたいと思い、当時読んでいた長谷敏夫さん著の「BEATLESS」に倣って、1ページを2段構成にして再編集し、さらに物語全体を上中下巻の3巻に分割していました。

 しかし、ここに1つ誤算がありました。
 物語を3分割にして1巻あたりの売値を小さくしようと思っていたのですが、3巻にすると、1巻分の表紙や本の作成費用が余計に掛かってしまい、思うように費用が下がりませんでした。

 そこで、私は上中下巻ではなく、上下巻の2巻で出版することにして、一度に大量に印刷するのではなく、まず20部を作成して、それを売り切ったら更に印刷をするという方法を選択しました。このときは、20部くらい、簡単に売れるだろうと高を括っていたのです。

 最初の20部の出版にかかった費用は、以下の通りです。
  PIXTA画像データ購入
  電子ストア登録・配信料
  Amazon&丸善ジュンク堂POD登録料
  表紙作成費用
  ISBN&JANコード取得費用
  その他消耗品
  以上で、約63,000円
  上下巻20冊の製本代および送料で、65,380円
 総額、128,380円で、ようやくというか、念願の出版を果たすことが出来たのです。

 これがブックパレットで製本した「オブシディアンの指環」です。
 表紙のデザインが、PIXTAで購入した画像データになります。
 もちろん、それぞれの画像には意味があって、上巻は物語に登場する七色の光をイメージしたもの、下巻は時の回廊に出入りするときに琥珀が発する黄金色の光の粒をイメージしたものです。このデザインは、最終的に文芸社文庫から朱パンするときの表紙のイメージとしても使用しました。 

 最初に届いた20冊の内の上下巻1セットは、大事にとってあります。
 しかし、それは記念すべき刊行本というだけでなく、大失敗の記録としての意味も帯びるようになってしまったのです。

 次回は、思うようにいかなかった最初の自費出版についてです。

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