社地研には学術局、書記局、組織局、会計局などの運営組織があり、私は1、2回生の時には編集局に所属していました。
編集局では「ゲオグラフィア」という機関誌を年に4回、そのほかに夏休みや冬休みの前にメンバーの予定などを寄せた「社地研自身」を発行していました。
当時の原稿はトレーシングペーパーに、ロットリングやステッドラーのペンでカリカリと書いて、地図はトレペの下に敷いて写していました。そして、集まった原稿とA3の感光紙を抱えて印刷室に行くのです。
印刷室には青焼きの印刷機が数台あって、感光紙にトレーシングペーパーを重ねて機械の中に差し込むように入れるのです。すると機械の中でトレペと感光紙が分離され、感光紙は下に、トレペは上に吐き出されてくるので、そのトレペを掴まえては新しい感光紙に重ねて機械の中に入れる。これを延々と繰り返すわけです。
青焼きをやったことがある人は分かると思いますが、観光紙が2枚くっついて出てきてしまうことなどよくある話で、肝を冷やすのはトレーシングペーパーが機械の中のローラーに巻き込まれて、メリメリって音がしたとき。
そんなときには「わわわ!」と機械を緊急停止しなければなりません。
機械を開けて、くしゃくしゃになったトレペを伸ばして、もう一度感光紙に重ねて機械の中に入れます。これでなんとかなったことも多く、アナログの偉大さを感じないわけにはいきません。観光紙が2枚くっついて出てきてしまうこともしばしば。
どれもこれも懐かしい思い出です。
そして、焼き上がった感光紙はサークルの部室に持ち込まれます。
我が大学ではこれをBOX(ボックス)と呼んでいて、当時の社地研のBOX Noは301。「BOX301」というのが社地研の別称でもありました。
ボックスに持ち込まれた感光紙の束は、A4サイズに製本するために今度はひたすら半分に折る作業が始まります。これも延々と繰り返して、今度はページごとに並べてみんなで若いページから重ねて集めます。集めてページを確認して、最後は巨大なステープラーでバッチン! と留めて完成です。
私はサークルの編集局で機関誌発行に携わる傍ら、自ら旅行記などをエッセイにしたものを投稿していました。
寝台特急「あかつき」で大阪から長崎へ行ったときのこと。
自転車で琵琶湖を一周したときのこと。
九州を列車で一周したときのこと。


当初は手書きだったものが3回生からは、ワープロの原稿になりました。
これにはちゃんとした理由があって、4回生になると卒業論文が待ち受けていて、我が地理学科の卒論は就職が決まっていようとも、下手な論文を書くと落とされるのです。論文の締め切りは通常12月の25日前後。毎年、先輩方の卒論を手伝ってきた私としては、自分の論文くらい自分自身の手で書き上げたい。
そんな折、大学の生協で型落ちのワードプロセッサを見つけて、ほぼ衝動的に買ったのです。
当時のワープロの画面は3行程度がモノクロの液晶で表示される程度のものでした。それでも、書いては消し、消しては書くという作業にはピッタリのアイテムで、私はいわゆるブラインドタッチの練習から入りました。
いま、こうして長い文章を書くことが出来るのも、書いては消し、消しては書き、書き留めておいた文章を繋げたりして一つの小説を書き上げることが出来たのは、このときの練習の賜です。
社地研の活動もまた、ワープロの練習になりました。
3回生の時の地域問題研究の商業班の班長だった私は、本調査のまとめにワープロを使ったのです。
このワープロ、液晶の画面はとても小さかったけれど、簡単な表計算が出来たのです。
これは画期的でした。それまではグラフや図表は基本、手書きでスクリーントーンを切り貼りしていたのです。それが機械作成できることで、見栄えがまるで違います。この機能は卒論でも大いに役立ちました。ワープロ、買って良かったと当時は心から思ったものです。
社地研の季刊誌、ゲオグラフィアに初めてワープロ打ちをした原稿を投稿したのが昭和62年(1982年)12月17日。「時間と空間の旅」と名付けられた私のエッセイシリーズのNo.8でした。
その後、卒業旅行になった沖縄のことや、大学時代を総括したエッセイなどを投稿し、卒業間際には、同期のメンバー7人がそれぞれ後輩たちに向けてのメッセージを書いた「七味唐辛子」を編集・発行しました。
大学を卒業後、私は過去の青焼き投稿をコピーしたり、新しい旅行記などを纏めた「AfterImage(残像)」というエッセイ集を作りました。たった1冊だけ製本したものですが、これが私にとっての初めての「本」になりました。
もちろん、いまでも大事にとってあります。
これら全ての経験が「オブシディアンの指環」に繋がっていると思うとやはり、人生に無駄なことはないんだなと、改めて思うのです。
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