自費出版への道 4 高校生の時に山の上から見上げた空の彼方には無限の宇宙が広がっていた

奮闘記

 2025年の夏、「この夏の星を見る」という映画が話題になりました。
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 (次に読みたい本がここにある 還暦おじさんの私的図書館

 辻村深月さんの小説がベースになった映画ですが、物語の舞台となっている茨城県砂浦第三高等学校は、実在する茨城県土浦第三高等学校がモデルです。また、物語の中心となっている「スターキャッチコンテスト」も土浦三高を中心に実際に行われている活動です。実際の活動はこちら

 私が高校生の時に所属していた天文部天文班では、「この夏の星を見る」にあるようなスターキャッチはしていませんでしたが、夏のペルセウス流星群と冬のふたご座流星群の観測は、部活動の中の2大イベントでした。

 どちらも山に登って観測をするのですが、冬のふたご座流星群の観測会は近場の石森山の中腹に1泊2日だったのに対して、夏のペルセウス流星群はより高い水石山の山頂にテントを張って、2泊3日の観測会をしていました。

 スターキャッチは望遠鏡で指定された星をいかに早く捕まえるか、のコンテストですが、流星観測は望遠鏡は使わないまでも、いかに正確に流星を発見して、その明るさや方向を報告するかが大事なので、似ているものがあると思います。なので、上下巻の小説も映画も興味深く読み、見させて頂きました。

水石山公園 いわき市公園緑地観光公社

 夏の観測会は、部室からテントや飯ごうを持ち出して、バスでを山の麓まで移動して、そこからおよそ6キロの山道を歩いて登ります。舗装された道路を登るので、いわゆる登山とはいえないものですが、途中に冷たい湧き水があったりして、ワイワイと騒ぎながらの道中は、それはそれで楽しいモノでした。

 山頂の公園にテントを張り、沢に水を汲みに行き、火を焚きご飯を炊いてカレーを作る。そうそう、当時は男子校だったので当然に女子はいません。すべて男仕事です。家業が旅館の先輩がいて、野菜の上手な切り方を教わったのもこのときです。

 夜、頭上に星空が広がってペルセウス座が見えるようになったら観測開始です。観測は大地に寝転がって星空を見上げる観測班と星は見ない記録班に分かれて行います。記録班が真ん中に座り、記録係を囲むように中心から放射状に観測班は寝転びます。頭が円の中心、記録班に近いところになります。

 流星は、とても簡単に言うと、地球の公転軌道面にある宇宙の塵の固まりに地球が突っ込んでいくことで起きる現象で、その塵の固まりがある方向を中心に放射状に星が流れていくように見えます。その中心付近にある星座の名前を付けてペルセウス座流星群とかふたご座流星群と呼ばれているのです。

 ペルセウス座の近くには北極星を見つけるときに役に立つ「W」の形で知られるカシオペア座やアンドロメダ星雲で有名なアンドロメダ座、牡牛座やぎょしゃ座があり、カシオペア座のWの凹みの部分と牡牛座の1等星アルデバランを結んだ線上にあります。

 ペルセウス座の周りには、アルデバランの他にカペラ(ぎょしゃ座)という1等星があり、ペルセウス座はアルゴルという2等星があります。ただこのアルゴルは2.9日の周期で2.1等級から3.4等級まで明るさが変わる変光星です。

 流星の明るさは、周辺の星の明るさに照らし合わせて判断します。でも流星が見えているのは本当にほんの一瞬なので(とても願い事を3度、唱えることは出きない)、周辺の星々の明るさを事前に確認して覚えておく必要があります。

 観測班は流星が見えたらその瞬間に明るさと飛んでいった方向を記録班によく聞こえるように大声で叫びます。ペルセウス座流星群は、毎年8月11日頃から14日頃にかけて見られる流星群で、多いときには1時間で40個とか60個とか見られるといいます。なので、多いときにはあっちからも、こっちからも、そっちからも「流星発見!」の声が上がるので、記録班に聞こえるように大きな声を出さないといけないのです。

 こうした観測会の成果は、2年に1度開催される文化祭にて発表されます。
 幸運にも私たちは1年生の時と3年生の時の2回、文化祭に関わることが出来ました。

 文化祭には、流星観測のデータや毎日太陽の黒点を観測している太陽班の成果や、地質班、気象班の研究成果を展示します。また天文班は山で撮った星や星雲などの写真をパネルにして展示したり、スライドにして上映会を行いました。

 3年生のとき、私はスライド上映の担当になりました。
 星空の撮影に使ったのは、通常のネガフィルムとは違うリバーサルフィルム。 
 現像されたネガフィルムは、全体が茶色ですが、リバーサルフィルムは目で見た通りに撮影されます。

 これをスライド投影機にセットして、暗幕で作った投影室で来場者に見せるのです。

 当時、カールセーガン氏著の「COSMOS」という本がテレビ番組化され、私は夢中になってみていました。カールセーガン氏の声の吹き替えは、初代水戸黄門の格さんこと横内正さんが担当していて、あの渋い声もまた魅力の一つだったのかも知れません。

 テレビ版「COSMOS」には、映画『南極物語』の音楽担当ヴァンゲリスの「アルファα」が使われており、私もそれを真似てスライド上映の暗室にラジカセを持ち込んで、アルファαやNHKのシルクロードのテーマ音楽担当の喜多郎さんの音楽を流していました。

 小説「オブシディアンの指環」の 「3 故郷への旅路」では、星空を頼りに季節と時間を知る場面がありますが、これはまさに高校生の天文部での経験から描かれたシーンでもあります。

 いま、バス停でバスを待つ人、電車の中、順番待ち、ありとあらゆる場面で多くの人が下を向いて、小さな画面の虜になっています。その割には天気予報は見ていないし、世の中のニュースも知らない。だから天気の急変にも対応できないし、知らず知らず法律でがんじがらめにされていることにも氣付かない。

 朝、カーテンを開けて朝日を浴びて深呼吸をしよう。
 それだけで健康を維持できます。
 空を見上げて、光の色や匂いを感じて季節を知ろう。
 それだけで気温の変化に対応できるからだづくりが出来ます。
 白い雲を見上げてその形の変化を楽しもう。
 それだけで想像力を養うことが出来、未来を妄想することが出来ます。

 勘違い、大いに結構。見上げた空の彼方には無限の宇宙が広がっている。

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