自費出版への道 26 自費出版した本を売るのは自分です

奮闘記

 さてさて、念願の出版を果たし、あとは売るだけとなりました。

 販売に関しては、確かに文芸社も一定程度はサポートはしてくれます。
 例えば、全国の本屋さんへの配本です。私の場合は、北は北海道から西は山口県岩国市まで、文芸社の提携書店の中から14店に配本していただきました。さすがに、全国の本屋さんに配本するのは、個人の力では無理ですから、こういうのはさすが、全国規模の会社ならではのサポートと言えます。

 また、全国紙への広告もありました。
 私の場合には、刊行前の12月1日から7日までの間の毎日新聞に、一度きりですが、新刊紹介という形で掲載されました。後日、掲載紙のコピーが送られてきていたはずなのですが、どこかへしまい込んでしまったようです。

 文芸社からのサポートは、以上です。

 後は自助努力で販売をしなければいけません。
 全国14店の書店での陳列期間もおよそ1ヶ月で、それが過ぎれば、次の新刊本のためにスペースを譲らなければなりません。あとは自分の力のみで販売するしかないのです。

 ご存じの方も多いと思いますが、広告宣伝というのは、お金をかけたからその分、イコールで結果が出るというものではありません。どんなにお金をかけても、全く結果が出ないことの方が多いのです。

 私の著書「オブシディアンの指輪」は、上下巻とも900円なので、上下巻をそろえて買うと、1800円。微妙な値段と言えば、微妙。上巻が430ページ、下巻が460ページもある分厚い文庫本なので、読み応えは確実にある。ストーリーにも自信はある。読んでもらえれば、面白かったと言ってもらえる自信もありました。

 でも、すべては「読んでもらえれば}=「買ってもらえれば」のお話です。

 現実は残酷です。
 自費出版の本が、無名の作家の本が、そうそう売れるはずもありません。

 知り合いのお店に本を置いてもらったり、アメブロやFacebookで宣伝してみたり、著名人に本を送って宣伝してもらおうと企んだり(実際に4名の方には送りましたが、当然、無反応でした。本人に本が渡ったかどうかも不明です。おそらく、渡っていないと思います)、全国放送のラジオに出て宣伝してみたり、12年間コラムを書いていた地元のミニコミ誌に広告を出してもらったり、いろいろやってみました。

 そんな中、自費出版者のために「日本自費出版ネットワーク」という団体があルことを知りました。
 ここでは自費出版された作品の情報を集めて紹介し、年に1度、「日本自費出版文化賞」というコンテストも開催しています。もちろん、私も登録して文化賞に応募しました。いい結果は得られませんでしたが。。。

 でも、なんでしょう。
 あまり焦りというものもなかったのも事実です。
 それはおそらく、ブックパレットでの経験があって、自費出版の本など、そう簡単に売れるものではないことを、経験則的に知っていたからかもしれません。

 あるいは、本が売れても売れなくても、文芸社からいただける印税には、変わりがなかったからかもしれません。

 文芸社の自費出版の場合、初版の印税は作成した本の部数分が最初から保証されています。つまり、発行した本が全部売れたと仮定して、印税が支払われる仕組みになっているのです。
 私の場合には、上下巻をそれぞれ200部作成しました。
 本の販売価格は、上下巻とも1部900円。初版の印税率は2%でしたから、単純計算で上巻に対する印税額は、900円×200部=3,600円になります。下巻も同様なので、上下巻併せて7,200円が、この自費出版で得られる収入です(実際には所得税等が源泉徴収されますので、文芸社から振り込まれた印税額は、合計6,466円でした)。

 ここで、覚えている方もいらっしゃるかもしれませんが、「自費出版への道23 文芸社再び」にも書きましたが、本の出版にかかった費用は200万円を超えています。それに対する対価が、6,466円とは、超赤字です。
 自費出版本は、第2版、第3版と、重版を重ねていかないと、割に合いません。

 だから、余程の自己資金があるとか、資金の範囲内での出版にするとか、あるいは私のように強い出版意欲があるとか、そういうことでもない限り、自費出版などするものではありません。

 昨今、「ブログの内容をまとめて本にしませんか?」などという換言で、自費出版のお誘いがあるように聞きますが、そんな話には乗らないのが得策です。儲かるのは出版社だけです。
 はっきり言いましょう。自費出版の本は、売れません。

 私の場合は、自分が書きたかったことを書いて、それをどうしても世に出したいという強い要望があったので、本を出せたこと自体が嬉しかったのですが、それでも売れないよりは売れた方が嬉しいですし、重版できるなら、してみたかったです。

 無謀にも、映像化を目論んで、NHKエンタープライズや東北新社、博報堂などにアプローチをしてみたりしましたが、相手にしてくれるはずがありません。

 今になってみれば、もっと上手な売り方というか、宣伝の仕方があったんだろうなぁと思いますが、実は、せっかく出版した本をあまり積極的に売ることが出来なくなった事情が発生していたのです。

 それは、自分で自分の本を読んでいて気づいた誤字、脱字の多さです。

 ブックパレットの時にも誤字や脱字はありました。落丁まであったくらいですから。それはいいんです。私だけの問題でしたから。今回は、編集者が入ってチェックを入れたにもかかわらず、間違いが残ってしまったのです。

 理由はいくつかありますが、まず一つは、単純に物語の分量が多いこと。
 これは言い訳にはならないのですが、やはり物語全体が長いと、目も届きにくくなります。例えば、作中に「新益宮」という固有名詞が登場します。これは「らまのみや」と呼んで、今の奈良県にある藤原京のことなのですが、新益宮にふった「ふりがな」が「まらのみや」になっていて、私はもちろん、編集者もスルーしてしまった例があります。

 あるいは、作中に「奴名川姫」という人物が登場するのですが、この表記が一部「奴奈川姫」に誤変換されていたのを、編集者が見逃していた事例があります(奴名川姫は、あくまで作中の呼び名です)。

 また、伏線がうまく回収できていないところや言い回しが上手に出来ていないところに気づいてしまい、そうなると、作者としてはそこを直したくなるし、直す箇所がある本を積極的に薦められないという心理が芽生えてしまったのです。

 そして1年はあっという間に過ぎて、2023年12月15日に文芸社との契約は終了しました。
 この間、売れた本の数は、上下巻ともおよそ60冊。まあ、少なくとも60人の方には読んでもらえたということになるのでしょうか。ありがたいことです。

 さぁ、これで「オブシディアンの指輪」は、また自由を得ました。
 この1年の間に見つけた修正点を修正して、全部で16章の物語を章分けして電子書籍として発行することにしたのです。
 出版先はAmazonと樂天ブックス。
 私の、私による、私のための出版は、まだまだ続くのであります。

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